優れたモジュール組織

トヨタのモジュール組織の優れているところは、部分的な設計変更がシステム全体に影響を与えないことだ。トヨタのマネジャーたちが混沌を生み出すことなく、かくも多くの権限や責任を委譲できるのも、このためである。

トヨタ生産方式のルールに従う企業ならば、トヨタ同様に混乱を引き起こすことなく、継続的改善を実現できるはずである。

トヨタ式ルールをマスターする

もちろんそれ以外の企業も、トヨタと共通する組織特性を持っているだろう。だが、トヨタ生産方式を採用していないにもかかわらず、トヨタ同様の組織特性を兼ね備えているという企業は見当たらない。結論から言えば、トヨタが投じた時間と同量の時間を投入しなければ、このようなモジュール組織にはならない。

しかし、トヨタ生産方式のルールをマスターすることに専念すれば、トヨタのDNAを取り込み、さらにはトヨタに匹敵する成果を上げるチャンスは十分あるだろう。

仮説と検証が常に繰り返される

トヨタ生産方式は一見厳格なシステムに思える。その一方で、状況変化への柔軟性と適応性に富んでいる。その理由は、仮説と検証が常に繰り返されているからである。

以下が、トヨタ生産方式のルールである。トヨタ生産方式の根底にある暗黙知は、これらのルールのなかに見出すことができる。「生産システムの活動設計」「社内の連携方法」「あらゆる資材や支援の流れ」「あらゆる改善活動」のすべてが、これらのルールに則している。

法則

  • (1)あらゆる生産活動は、その内容、手順、所要時間、仕上がりについて詳細に規定されていなければならない。
  • (2)作業活動や連携、資材や支援の提供に当たっては、「仮説」「検証」のプロセスが自動的に埋め込まれていなければならない。
  • (3)従業員とサプライヤーは何者も介することなく、直接結びついていなければならない。また、依頼する場合も応答する場合も、必ずあいまいさを排除したうえで、「イエス」か「ノー」をはっきりさせなければならない。
  • (4)すべての資材および支援は、面倒な手続きをなくし、直接提供されなければならない。
  • (5)どのような改善も、教える者の指導に従いながら、科学的アプローチに基づいて、可能な限り現場で実行されなければならない。

動画

漫画(アニメ)によるトヨタ生産方式の説明



トヨタの生産現場の品質へのこだわり(愛知県豊田市の元町工場)